精神科・介護のよもやま話

実体験を元に裏事情を語ります

補聴器


私は介護施設でたかだか2年働いただけですので、施設の運営について何を知ってるわけでもありません。

ただ、仕事をする中でこういうことをしたら少しは利用者さんやそのご家族が幸せになるんじゃないかなと考えていたことがあります。

それを紹介していきたいと思います。

まずは補聴器です。

 

老人ホームの入居者さん達はほとんどの方が補聴器を付けていません。

ですからコミュニケーションを取るのも一苦労です。
ある方は1m位まで近寄らないと聞こえません。
共有スペースに来てもテレビの音も聞こえないので、1日ボーッとしているか居室に籠もってイヤホンでテレビを観られていました。
そこで居室に閉じこもるよりは少しでも共有スペースに出てこられるようにとテレビにトランスミッターを取り付けてイヤホンを付けてもらうようにした所、共有スペースに出てこられることが多くなりました。
また、ある方はテレビの音を上げてもらえないことに不満を持たれ時々キレたりしてました。
耳が聴こえないと認知機能の低下にもつながると言われています。
 
老人ホームに行けばユーザーがわんさか居るのに補聴器メーカは何故営業に来ないんだろうと思っていましたが、母の補聴器の相談に行った時に聞いたところ営業は行っていという話を聞きました。まあ、当たり前ですよね。
それでもどなたも付けていないのは、御本人はもうここに死ぬまで居るだけだから家族にも迷惑をかけるだけなので要らないって言うんでしょう。
営業する相手が違うんです。
金を払う御家族に営業しないと断られるに決まってるんです。
 
しかしメーカーは御家族と接点を持つことは個人情報の関係からも難しいですね。
そこで老人ホームで御家族に声をかけて、販売・説明会を行えばメーカーは飛んで来るでしょう。
それぞれのご事情に合わせていろんな選択肢があります。
どれくらい聞こえるようになるか位だったらその場でサンプルを持ってきて確認することができます。
 
また補聴器はアフターケアが非常に重要です。
今まで聞こえなかった音が急に聞こえるようになると逆に不快になったりするそうです。私の母の時もそうでした。
なんだかんだで、しっくり行くまでに4ヶ月位掛かりました。
 
そのケアを介護施設で受け持つような仕組みづくりができればいいなと考えています。
もちろんお金のことも絡めてです。
補聴器の調整をする為には無響室で測定する必要がありますが、例えばノイズキャンセリング技術を用いたヘッドホンを使えば、施設内でも可能になるでしょう。
 
実際にやりだせばいろんな問題が出てくるとは思います。
ただ、その方向に動き出せば、一つ一つ潰していけばいいだけのことだと思います。
入居者さんの中で、とりわけ認知症になっていない方ほど、
「何もやることがなくて死ぬのを待ってるだけだ、はやく死にたい。」
と仰っていました。
死ぬのを待っている・・・これは事実です。しかし、それまでの間少しでも幸せでいられるようなことを考えられないものかと思います。